わたしはごはんがおいしくないという話


こないだ食べ物系の取材に行った時に

「食べ物は香りでおいしさを感じる」

って聞いて、

「そっかー、だからわたしカレーが好きなのかも。あんまりごはんをおいしいと思うことは少ないですけど、カレーだけは食べたくなるんです」

って何の気なしに言ったら、店主さんは目を丸くして

「おいしくないの? それはまずいね」

って言うの。


えー、それはそんなにかなぁと思いながら

「自分でごはん作って食べても何にもおいしくないから、ごはんつらいです。家で作って食べるのが苦手なんです。ごはんへたくそなんですよねー(笑)」

ってちょっと自嘲気味に言ったら、

「そりゃあ誰かが作ってくれたごはんのほうがおいしいよ。誰かのために作るごはんでもいい。だってそうやって心を込めて作ったごはんと、何も考えずに作ったごはん。どちらがおいしいかなんてわかりきったことじゃない」

って優しいことを言ってもらって、取材中にぼろぼろ泣いてしまった。


あーそうかー、あー。実家にいたとき、ごはんおいしかったなあ。

ミートソースのスパゲティとか山盛り食べていたのに、今はパスタの味あんまりわからない。

母はわたしの体のことを考えて、手作りのごはんしてくれたり、野菜も地元のだったり、アイスも1日1まで!って厳しくして大事にしてくれたのに、わたし、自分の体大事にしてなくてごめんね。

おうちのスパゲティが食べたい。


ごはんおいしい人は、きっと心を許した人が近くにいたりとかするんだと思う。それって本当に幸せなことだから、当たり前だと思わないで大事にしてね。



わたしもいつか、味覚なのか感覚なのか治るといいなあ。

ごはんについての悩みは多いけど……取り急ぎ、おいしいの感覚を戻したいと思えた取材であった。


tom

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